jpg NEO Sense of Horse Life ディープインパクト ~ 君が伝説になった日 ~

ディープインパクト ~ 君が伝説になった日 ~

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2006年12月24日、クリスマス・イヴ。
ついに、この日が来た。

今年後半、私の身辺は低空飛行、失速寸前だった。
そういう振り払えない蜘蛛の巣が張りこめたような精神状態の中、
かろうじて、毎週末の競走馬たちの走りに気力をもらってきた。
ディープインパクトの、凱旋門賞参戦からの彼に漂うグレーの不安定な空気。
それが、やっと11月末のJCで払拭された気がした。
そして。。。
彼のラストラン、2006年グランドフィナーレ・レース、有馬記念。
ディープインパクトは、このレースを最後、そのまま引退式に臨む。
そして、二度とターフには戻ってこない。
もう、彼のあの滑るような走りを観ることは出来ない。


正真正銘、本当にこれが最後。
そして、
彼は、冬晴れのなか、中山の直線を先頭で駆け抜けた。



今日の私は入場してすぐ、もう人に酔ってしまった。
入場者数は、11万7千人あまり。
パドックも人人。
最後のパドックでの写真撮影も、もう人の頭ばかりでどうにもならない。
結局、無用の長物の体たらくの望遠カメラ。
どうしても、ほかの馬たちばかりに焦点が合った綺麗な写真が撮れる。
ディープの写真は、どれも失敗だ。


DeepImpact03.jpg


なんとなく、後ろ向きの気分になる。
ムキになればなるほど、うまくいかない。
今の私の心が投影しているようだ。

おまけに、今日はターフ観覧も結局人をかき分けて進出する気力もないほどだ。
どこにも、コースを観られる場所が見つからない。

( せっかく、ディープの最後のレースを、彼と同じ空気の中で
  多くのファンたちと一緒に、この眼に焼き付けておこうと思ったのに・・・)


迫る発走時間に、とにかく外の空気を吸えるパドックの掲示板を観ることにとっさに決めた。
そんな観客が、たくさんいたから、ちょっとほっとした。
自分だけが取り残されたわけじゃない。
2階から、それらの人たちと一緒に、レースを見守る。

枠入りで、スイープトウショウが、ごねてなかなか入らない。
今日は、彼女のガンとゲートに入るのを拒否している様子が、
一瞬の緊張感から開放してくれた。
場内から、暖かい歓声があがる。
やっと入った彼女に、一斉に拍手が起こった。
精鋭たちの中に入って、牝馬ただ一頭の参戦。
今日は何故だか、スイープがとても可愛らしく見えた。


レースは、もうディープの独壇場だった。
後方3頭目を進んでいく。
3コーナーを過ぎたあたりから、もう馬なりに上がっていく。
そして、
彼の生涯最高の、そして最後の衝撃を、
私たちの前に見せてくれた。




Retirement-Ceremony03.jpg



引退式。

16時50分。
すっかり暮れていった漆黒の中山競馬場の緑のターフに、
スポットライトを浴びて、君の姿が見えたとき、
もうすでに、胸に迫るものがあった。
この2年間のディープインパクトをずっと見守ってきた池江調教助手と市川厩務員さんが
手綱を引く。
二人の表情の、ずっとディープをいとおしそうに見ているのが印象的。


今日のラストランでつけていた、栄光のゼッケン4番の
青地に明るく浮き出た白いその”4”という数字と、”ディープインパクト”の名前。
ゴール板から4コーナーに向かって、直線の坂を歩いて下って、
また戻って来る。
そして・・・
主戦騎手の武豊騎手が、そっと彼の首をさすって、
ディープの背中から鞍が外れた時、
こらえていた涙が流れてきた。

もう・・本当にもう、彼の背中に鞍をつけて走ることはもうないのだ・・・

小田和正の、「言葉にできない」の曲が流れてきた時、
もう涙は、とめどなく頬を伝う。
横に友人がいなければ、もう号泣に近い、万巻迫る思いが溢れてきてしまった。

思えば、ミホノブルボンの皐月賞で、競走馬の魅力に取り付かれた私。
あれから、
私の人生の様々な苦しみや悲しみをずっと支えてくれてきたのが、
競馬という世界で生きている馬や人々だったことに、
改めて気づいた。
人生のどん底だと、明日の希望も失ってしまった時、
もうのめりこむように競走馬に夢中になっていった。

そういう中で出会ったのが、
今、競走馬人生を終えようとする
ディープインパクトという、この一頭のサラブレッドだったのだ。

藍色のクリスマス・イヴの空に、
天に逝ったあの馬たちを想っていた。



そして・・・
ディープインパクト。
あなたが走ったこの2年間。

あなたの存在そのものが、
私自身の身に、ずっと重くまとわりついていた
不完全燃焼の小さな燻りを持て余し、もがいていた自分の心の
最後の支えだったことを今、初めて思い知らされたのだ。

ずっと、あなたを通して
私は、自分の生きる道を見つけようとしてきていたのだ。

スポットライトを浴びて歩く君の姿が、
またゆっくりと視界から消えていった。

あなたに会えて本当に良かった。

ターフに決別するあなたの姿は、本当に「 伝説 」になった。

そして、
私も、
こんな暗黒の世界から、きっぱりと抜け出そう
いや、
抜け出さなければならないのだ。
そう思った。

ありがとう。
本当にありがとう。
ディープインパクトよ。
君と出会えたことに
君の走る同じ時代に生きたことに
感謝します。

ありがとう。
元気で
そして
また、逢おう。

君の子供たちが走り出す
その”父”の名前に刻まれるその時まで・・・


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ディープインパクトは、今日午前、元気に
信頼する市川厩務員さんとともに、
北海道へ旅立っって行った。





-- 写真日記 NEO Teatime Note より、改編 --

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コメント

#
はじめまして!
~ちょっとだけ馬っぽい~の管理人のキカラナナと申します。
昨日のクリスマスイヴはディープ一色でしたね(^_-)
すばらしい思い出を残してくれました。。。
勝って無事に引退できたことがなによりです(#^.^#)
わたしもミホノブルボンは好きで、
血統的に無理といわれた長距離を坂路で鍛え上げて克服し2冠馬になりましたね。根性のある馬でしたね。
競馬場にいけるのが凄くうらやましいですね。写真の掲載もあってすごく良いブログですね(^O^)
もし良かったら私のところにも遊びに来て下さい。
それでは また~(^^)/
by: キカラナナ | 2006/12/25 17:05 | URL [編集] | page top↑
#さらば不世出の英雄
どうもこんばんは。こちらからトラックバックさせていただきます。冒頭でかなり憤ってるのはご愛嬌という事で(笑)。

昨日でディープインパクトもついに引退・・・という事で、やはり何か込み上げるものを感じますね。私としてみれば、凱旋門賞で結果を残す事が出来ず、海外制覇の夢は次世代に託す、というところでしょうか。できれば、ディープ自身がもう一度、という思いがあるのですが、一方で「もういいんだ」と思ってしまったりもします。

それにしても気になったのは、引退式での多数のフラッシュ(TVのニュースで見ました)。あれは大丈夫なのか?と心配してしまったほどです。一部ブログでは、そんな状況の中でディープは平然としてたが誘導馬のセンゴクシルバーが激しくイレ込んだとか、そうでないとか・・・(汗)

何はともあれ、夢を時代に託せられるよう、種牡馬生活を送っていただきたいものです。
by: ジョカトーレ・F | 2006/12/25 20:55 | URL [編集] | page top↑
#
☆キカラナナさんへ

ようこそ、お越し頂ありがとうございます。
fc2ブログの競馬カテゴリーからいらっしゃったんでしょうか?
こちらこそよろしくお願いいたします。

三歳時のディープインパクトは、正直エリート過ぎて、天邪鬼な応援しか出来なかったんですけれど、
やはり、ダービーの鳥肌の立つ衝撃的な走りが、強烈に彼の存在を刻み付けさせられました。
いろいろ言われることが多かったし、アンチディープファンもいたりして、大きな声で応援してきたつもりはなかったのに、
昨年の有馬記念の2着、そして今年の凱旋門賞の3着、薬物事件あたりから、
心から彼を応援していた自分に気づかされました。
だから、昨日の有馬のレースで、完璧なまでの強いディープらしい勝ち方でうれしかったです。
「ディープ、ありがとう!」
本当にそう言いたいです。

競馬にはまったのは、偶然にテレビで観た、ミホノブルボンの美しい前駆の繰り出す走りでした。
ブルボンのことも含めて、リンクにある 「My Memorial Horses 」に
私の忘れられない思い出の馬たちのことを語っています。
よかったら、そちらも覗いてみてください。
それ以来、あらゆる競走馬に関する情報を収集し、そしてそのドラマに自分の人生を投影して来ました。
実際競馬場にあしげく通うようになったのは、実はここ3年ほどなんです。
だから、行ったことのある競馬場は、日本では関東圏の府中と中山だけなんです。
それも、大体がG1レースの時の日曜のみ。
それでも、幸せです。
こんな歴史的レースに、生で立ち会うことが出来ますものね。

いつか機会を作って、是非競馬場に来てみてください。

コメントありがとうございました。
by: Jacaranda | 2006/12/25 22:04 | URL [編集] | page top↑
#ディープ伝説最終章の幕
☆ジョカトーレ・Fさんへ

ちょっと、昨日は万感の思いで、やはり涙してしまいました。
いいレースだったし、いい引退式だったと思います。

その引退式のたくさんのフラッシュは、ほとんど仕方がないと半ば確信犯的な管理だったのかもしれないと思ってしまいました。
あの三頭の誘導馬のうち、真ん中の芦毛の馬は、センゴクシルバーだったのですね。
そうと知っていたら、もっときちんと写真とっておけばよかったです。。。

オーナーである金子さんが、
(初めてお声を聞きました。)
「 でも、あと1年間走りを見守るには、私のハートは小さすぎた。」
という言葉にすべてが集約されていました。
多くの馬が、その競争生活の中で、故障を発生してしまうことが多いなかで、この2年間、無事に過ごせたこと、これは何ものにも替えがたい彼の財産ですものね。
そういう”守り”の姿勢になる金子オーナーの搾り出すような思いを聞いて、
そして、昨日一日のディープインパクトを姿を見て、
「これで完結」、伝説の最終章の幕は降りたのだ。。。
そういう決別のような気持ちに包まれました。

あと一年、そう思い続けて、引退が撤回されればいいのに・・・と、そう思ってきましたけれど、
これでよかったのですよね。

でも・・・
競走馬としてのアスリート、ディープインパクトの姿は、もう本当にもう。。。観ることは出来ない。
そういう現実を受け入れるのはつらかったです。
やっぱり寂しかったですね。

そうですよね。
これから新しい道、
種牡馬として、成功してほしいですね。。。

by: Jacaranda | 2006/12/25 22:20 | URL [編集] | page top↑
#こんばんわ!
涙、涙のラストラン&引退式でしたね。
全てが終わったあと、自分自身が燃え尽きてしまい
その場にヘタヘタと座り込んでしまいました。

一夜明けた今日、頭にあるのはディープちゃんのことばかりです。
今は寂しいという気持ちはなくなりましたけども
今度はまた新たな心配事が出来てしまって・・・。
中山から15時間かけて北海道へ到着するということで、
そろそろ現地に着く頃だなぁ~・・と思いますが、
自分が引退をしたことを知らないでいるディープちゃんは
この後レースをしないことでストレスが溜まってしまうのではないか・・とか
これからディープちゃんのお世話をする人も変わってしまうでしょうし、
環境が変わってしまうことで元気を無くしてしまったりしてしまわないかと
何か余計な心配をしてしまいます(・_・;)
by: pirloyan | 2006/12/25 23:52 | URL [編集] | page top↑
#
pirloyanさん、こんにちは。

先ほど、ディープ君が、無事今朝6時過ぎ、社台スタリオンステーションに到着したというニュースが流れてきましたね。
市川さん、「 これから種牡馬として第二の人生を、ここでも厳しい競争の世界です。 元気でかんばっていってほしいと思います。」
と、少し涙ぐみながらインタビューに答えていらっしゃいました。
市川さんが道中ずっと一緒でしたから、大丈夫でしたね。

「元気はつらつで、今すぐにでも調教にいけそうなくらいでしたよ。」って・・・

そうですよね。 ディープ君にとっては、”ここでちょっと、やっとご褒美の放牧生活をさせてもらって、また僕は栗東に戻って、調教するんだよね!”
って、思ってるんじゃないかな。
そう思います。
だって、また4歳、元気いっぱいですもの。 走ることが大好きということは、牧場で自由に駆け回るということではなく、ほかの馬たちを負かすレースっていう世界が好きなんじゃないかなって
そう思いますから・・・

でも。。
TVで大写しになったディープ君の顔は、改めてとっても眼の綺麗な素敵な馬だと実感しました。
新しい担当者の方(おそらく。。。)に牽かれていたのですけれど、市川さんと同じくらいの年齢の優しそうなしっかりした感じの方でしたよ。
多分、大丈夫ですよ。  いや、そう思って見守って行きましょう。
by: Jacaranda | 2006/12/26 12:23 | URL [編集] | page top↑

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 有馬記念の感想等を書く前に、引退式について一言。 フラッシュを焚いた馬鹿者は金輪際競馬場に来るんじゃねぇ!(怒) いくら暗いからといって、馬にフラッシュはご法度という事も分からんのか。JRAもターフビ
2006/12/25 (Mon) 20:42 | Re:F's blogroom
ディープインパクト,そして武豊騎手,お疲れさまでした!僕にはこの一言につきます。有馬記念は阪神競馬場で観戦しました。ブログの更新と同じく,久々の競馬。今年は忙しかったせいもあって,ほとんど競馬場には行けませんでした。今年最初はフランスのロンシャン競馬場。
2006/12/25 (Mon) 23:11 | Sonomama! x2 blog
15:25― GIのファンファーレが鳴り各馬がゲート入りを始めた。 ディープにと
2006/12/25 (Mon) 23:36 | ■soliloquy■
有馬記念を中山で見て、引退式は途中で切り上げ電車の混まないうちにと早々に家に戻ってきたが、疲れた。何に疲れたのかと思うが、とにかくどっと疲れが出て早くに寝たものの、12時間くらいは寝た。それでも体を動かすのがおっくうで、何もせずにぶらぶら無為に一日を過ご
2006/12/26 (Tue) 19:21 | Racing Blog 2006