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写真家 今井壽惠さんの訃報

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絵画的で美しい競走馬の写真を長年に渡り撮り続けておられた
写真家の今井壽惠さんが亡くなられました。 77歳。

17日午後9時00分、急性心不全のため自宅にて逝去。

今井さんの写真は、定期購読していた 「優駿」の ”世界の名馬”シリーズを見て

( なんて、美しい写真なんだろう・・・ )

と、毎号ずっと飽きず眺めていました。
本当に、芸術的で高貴なたたずまいを漂わせていて
サラブレッドの美しさを教えて下さいました。




今、私の手元に
2006年9月17日のレーシング・プログラムがあります。
中山競馬場で、セントライト記念(GII)レースが開催された日です。
そのレープロの表紙裏に
今井さんの写真と文の一枚の記事が掲載されていました。

「 私が出会った名馬 」

” 赤目のスルー ” とタイトルされて、シアトルスルーの写真が眼に飛び込みます。
わざとフォーカスをぼかしたように、茶色に光るシアトルスルーの赤い眼が強烈に訴えかけてきます。

あまりにそのスルーの眼に引きつけられてしまい、
私は、このレープロを捨てることができないでいます。

それほど魅力を放っているのが今井さんの映し出すサラブレッドたちです。

ここに、その本文全文を書きとめてみます。


赤目のスルー        シアトルスルー

 アファームドの三冠誕生を信じ、1978年、再度渡米、ベルモント競馬場へ入った。 
本コーススタンド前で、アファームドの調教を見るために待っていると、
周辺のざわめきが大きくなり、「彼が来た」「彼だ」と、短く声がする。 
黄色のジャンパーを着用したライダーと黒鹿毛の馬とポニーが目の前にやってくる。 
前年度の三冠馬シアトルスルーとの初対面であった。 
勝気そうな目、若駒のように殺気だった身のこなし、自我の強い馬に見えた。 
無敗の三冠馬はベルモントSのあと、スワップSで4着、はじめての負けレース、
後にオーナーはシアトルスルーのプライドを傷つけた、との理由で調教師を変えている。 
G1挑戦10戦のうち9勝、全成績17戦14勝、2着2回、4着1回で現役を引退した。
 1988年頃から私は、ケンタッキーのスリーチムニーズファームへ、毎年のように
訪れ写真を撮る。 種牡馬としてトップクラスのシアトルスルーは、A.P.INDY、
SLEW O’GOLD、CAPOTE他、多くの後継馬を残し、名馬の名声を高めた。 
サラブレッドとして、見た目は美形とは言えないが、自ら創り出す雰囲気は毅然と
して、私は無視されっぱなしだった。 
人を射竦める眼光、威圧的な佇まい、競走馬としての心を持った馬は、
天才と狂気の血を持ち合わせていた。 或る時は、深く澄んだ黒目、
時には狂気の赤い目、魔物のように光る黄色の目の表情をのぞくだけで、
彼の心理に興味を持ち、会わずにはいられなかった。 
2002年5月7日永眠、彼の勝ったケンタッキーダービーと同じ日だった。 
彼は黒のビロードの馬着に包まれ、大好きだったペパーミントも一緒に埋葬された
由、最後に天使の目を見たかった。



  
写真も素晴らしいですが、今井さんの書かれる文章にも魅かれます。
そして、このシアトルスルーにも会ってみたくなるほどです。



2002年に、清里フォトアートミュージアムにて開催された
 =今井寿惠 「馬に魅せられて ― 40年の軌跡」 =
に、今井さんの写真の一部を見る事ができます。
最初に掲載されているメジロマックイーンの写真が、圧巻です。

馬を愛し、30年余にわたり馬を撮影し続けている今井寿惠。
イギリス、フランス各地の競馬場には今井の撮影のための席が用意され、
日本人として国内外で最も数多くの名馬を見てきたと言われる写真家です。



この時の図録がオンラインショップで購入可能です。


ご冥福をお祈りいたします。
合掌





 
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48歳の決断

K.Princess02.jpg
優勝して引き上げてくるカワカミプリンセスと本田優騎手 
オークス 2006


昨日の15日、JRAから、2007年度の騎手、調教師免許試験の
合格者17人(騎手10人、調教師7人)が発表された。

その中には、
昨年の牝馬クラシック2冠馬カワカミプリンセスの主戦騎手だった
本田優騎手の調教師合格と、
笠松競馬所属、安藤光彰騎手のJRA騎手合格”48歳の転機 ”が、
特別印象的だった。

ともに、48歳。

特に、本田騎手の場合は、
昨年のカワカミプリンセスのエリ女杯の一着入線、そして12着降着
という不本意な結果を残したまま、
「 年内引退!?宣言 」もあったりして、、、
古馬になった今年のカワカミプリンセスの動向とともに、
私としては、本田騎手のことは非常に気になっていた存在だった。
その、エリ女杯の降着決定の後のインタビューでは、

「 馬には罪はない。 自分を処分してくれるならどんなことでも受けるから、
  どうか馬にだけは。。。と懇願したのだけれどダメだった。 」

と、答えていたその無念な胸中を推し量って、
馬に対する愛情が伝わってきて、来年(2007年)もカワカミプリンセスに騎乗して、
その真の実力を見せて欲しいものだと思っていたし、
( もしかすると。。。本田騎手もあともう一年くらい、
  せめてエリ女杯再挑戦で、きちんと結果を出してからの引退か・・・)
と、希望的観測を持っていたのだけれど。。。

「 騎手引退 → 調教師転向 」という路線は、すでに一年前から決めていたことのようなので、
カワカミプリンセスに出会っていても、意志は変わらなかったということか・・・

それにしても。。。
本田騎手は、2月の乗鞍の残る2週、17日の京都記念(マイソールサウンド)、
24日のアーリントンC(ローレルゲレイロ)を最後に騎手生活にピリオドを打ち、
3月から(早速!)調教師開業ということだ。

( 厩舎開業規定とか、よくわからないけれど。。。
  合格したら、即開業しなくちゃいけないんだろか・・・???)

う~~ん。。。
3歳牡馬クラシックの有力馬、ローレルゲレイロも、カワカミプリンセスも
なんとなく「 騎手:本田優 」というのがピッタリだった気がしていて、
(私が勝手にそう思っている。。。)残念だと思うのと同時に、

「 はっきり言って(騎手に)未練はないです。」(報知新聞記事より

って、そんなキッパリ言っちゃうとねぇ。。。
カワカミプリンセスの降着劇のモヤモヤ感が払拭できないよ~~!
そう言っちゃあ、身もふたもないでしょう・・・・?、本田さん!!
(って、思ったのは私だけ??)




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安藤光彰騎手
JRA騎手合格の報を受けて満面の笑顔
写真提供:報知新聞



一方、念願の騎手合格に喜びを素直に表現している安藤(光)騎手は、
とても爽やかな印象で、こちらもなんだかうれしくなってくる感じ。

すでに中央転向して大活躍中の弟、安藤(勝)騎手のお兄さんが、
果敢な挑戦で夢をつかんだ。
目指した理由が、中央の華やかさに憧れたというような単純なものではない。
地方競馬の抱える存続問題。
所属する笠松競馬の行く末も「試験的存続」という不安定なもの。
そういう中での2年前の決断だったそうだ。
2度目の挑戦での合格。

「 減量は苦にならないし、体も全然大丈夫。
  パワフルで思い切った自分のスタイルで頑張る。
  自信はある。」

という、地方競馬のベテラン騎手の力強い中央デビュー宣言。
どうか頑張って欲しい。


二人の、” 48歳の決断 ”。
48歳で、「 やることは全部やって未練はない。」と騎手生活を終える人。
「 体も全然大丈夫、これから頑張る。 」と新たな騎手生活に挑む人。
と、人生は悔いなきものにしなければという思いを、
このお二人の会見記事を読んでしみじみ感じた。

3月からのお二人の新しい出発に幸あらんことを!!



18:31 | 競馬関連ニュース | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

2006JRA年度代表馬が決定

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ディープインパクト 有馬記念2006
写真提供:Sponichi.Annex



月曜のシンザン記念のレース回顧、「3歳クラシックロード序章の幕開け」
というタイトルで記事をまとめているうちに、
連休明けの9日、2006年のJRA年度代表馬たちが発表された。
なので、こちらの記事を先にアップ。


予想通り、ディープインパクトが、2年連続で年度代表馬に選出された。
加えて、「最優秀4歳以上牡馬」も受賞。
当然だろう。
時代を駆け抜けた名馬だったもの。



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ドリームジャーニー
写真提供:Yahoo ! Sports


最優秀2歳牡馬にドリームジャーニーが選ばれたのは、予想外だった。
とても嬉しい。
フサイチホウオウかな・・・と、一瞬思ったけれど、
やはり、G3のラジオNIKKEI杯の勝ち馬より、朝日杯FS(G1)を制したのが決め手だったかな。。。
朝日FSの鮮やかな差し切り勝ちは、ぞくぞくっとしたものね。
ディープインパクトのような、素晴らしい飛翔だった。
小さな体、お父さんがステイゴールドって言うのもなんだか魅力。
あのレースで、”来年のクラシックはこの馬とともに!”
と決めたのだった。
だから、素直に嬉しい!



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ダンスインザムード CashcallM 2006

そして・・・
最優秀4歳以上牝馬に、愛しのダンスインザムードが選ばれた。
2歳、3歳時は破竹の勢いだったのに、4歳になってからの一年が
気難しさが出て、スランプだった。
それでも、父サンデーサイレンスから受け継いだ、
漆黒の体に鼻の流星の美しい彼女を現地観戦し、精一杯応援し続けていた。
抜群の末脚。
牡馬とのレースでもひけをとらない。
どれをとっても、” かっこよかった ”彼女。
その彼女が、明けて5歳の春、新設のヴィクトリアMの初代女王に輝いたレースは、
本当に嬉しかった。
パドックの気配で、絶対負ける気がしなかった。
初めて買った3連複の馬券が当たった記念すべきレース。
青い馬服を真っ白いリボンで結んでいて、
凱旋するダンス嬢が、とてもキュートでかわいらしく見えたのも
いい思い出だ。
そして、3歳のアメリカンオークス(2着)で、やり残してきたアメリカでの優勝。
それを、7月のキャッシュコールMで、きっちり借りを返してきた。
秋には、同期ダイワメジャーとのワンツーフィニッシュ。
引退レースの香港M(12着)で、久々に手綱を取った武豊騎手が、

「 敗因? よくわからないですね・・・ ダイワメジャーを探していたのかな???」

という名台詞を残してくれたのだった!

これからは、お母さんとして、頑張ってね。
私は、日本で繁殖入りしてくれて、ほっと安堵。
いつか、逢いに行きたい!


dance-mood06.jpg
ヴィクトリアM 2006


昨年の受賞馬であったスイープトウショウは、
骨折明けの京都大賞典の優勝くらいだったからなぁ。。
でも、暮れの有馬記念で紅一点での出走。 
ゲート入りで強烈な印象を残してくれたので、彼女にも”話題賞”をあげたい。
同期同士だから、2年を通して仲良く2頭で分けた形かな。

ダンスには、引退のはなむけになった。
引退レースになった、香港Mの時は、ばたばたとしていたし、
そのすぐ後の正式引退発表のときもきちんと記事に残せないまま、
年を越してしまったので、
私自身の中でこれで、すっきり彼女にさよならできて、ほっとした。





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ダイワメジャー 天皇賞・秋2006

最優秀短距離馬は、すっかり貫禄の風貌の漂う堂々たる受賞、ダイワメジャー。

昨年、有馬記念を制し、ドバイシーマクラシック優勝、そしてイギリスのキングジョージを
3着した同じ5歳馬ハーツクライは、秋JCでまさかの敗退、その後の引退ということで
最優秀4歳以上牡馬(連覇になっていた!)受賞をディープに譲って、明暗を分けたか。
2頭とも、同じ「喉鳴り」を発症しているものの、
若駒の時の早期治療により復活した”ダメジャー(!)”君と
5歳になって発症のハーツクライ。
”時”の運命の分かれ目のような結果だ。
神様のいたずらか。。。
ここにもドラマがあった。



K.Princess04.jpg
カワカミプリンセス オークス 2006
メンコをはずした素顔が可愛いかった!



最優秀3歳牝馬および最優秀父内国産馬(父:キングヘイロー)は、カワカミプリンセス。
オークスに続き、秋華賞で2冠、続くエリザベス女王杯でも
無敗の3冠戴冠か。。。と思われた。
しかし、まさかの斜行、12着降着という結果になったけれど、
その強さは、誰もが認めている。
北海道の中小牧場から彗星のごとく生まれた同馬。
父のキングヘイローも魅力だけれど、祖父のダンシングブレーヴの血が
流れているっていうのが、またドラマだね。
その強い強い牝馬が、さて明けて今年、牡馬との古馬戦線でどう戦うか。。。
それもまた、今年の競馬の楽しみだ。




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メイショウサムソン 皐月賞2006


最優秀3歳牡馬は、2冠馬、メイショウサムソン。
秋以降、春の精彩を欠いている感があってちょっとやきもきしているサムソン君だ。
最後の直線で差されるレースが多くなって、
サムソンの、前で競馬して長くいい脚を使うという戦法が活きるように、
石橋さん、作戦練り直して戦っていってほしいなあ・・・
ドリームパスポート君に、総合評価では負けちゃっている印象があるので、
ぜひとも、再起、奮起を祈ってる!


最優秀2歳牝馬は、阪神ジュベナイルF(G1) を制した、ウオッカ。
しかし・・・、毎年のことながらこの栄冠を戴冠した牝馬が、
クラシックで勝てる確率が低い気がして、少々気になるところ。
実際、シンザン記念で牡馬との戦いで2着と好走を続けている
強いライバル、ダイワメジャーの妹、ダイワスカーレットがいるからね。。。


最優秀ダートホースのアロンダイトは、エルコンドルパサーの忘れ形見、
希少価値の孝行息子だ。


最優秀障害馬、マルカラスカルは、暮れの中山大障害(J.G1)を制しての受賞。 
鞍上の西谷騎手が、泣きながらインタビューに答えていたのが、印象に残っている。
メイショウサムソンが、ちょっと秋のふがいないレース振りのところを、
管理する瀬戸口調教師に有終の美のプレゼントを贈った感じだったのも、
ちょっと感動だった。
これで、瀬戸口調教師は、管理馬2頭の受賞での勇退だ。




「 2006年度JRA賞 」受賞一覧

1.競走馬部門

◆年度代表馬 ディープインパクト
    栗東・池江 泰郎厩舎

◆最優秀2歳牡馬 ドリームジャーニー
    栗東・池江 泰寿厩舎

◆最優秀2歳牝馬 ウオッカ
    栗東・角居 勝彦厩舎

◆最優秀3歳牡馬 メイショウサムソン
    栗東・瀬戸口 勉厩舎

◆最優秀3歳牝馬 カワカミプリンセス
    栗東・西浦 勝一厩舎

◆最優秀4歳以上牡馬 ディープインパクト
    栗東・池江 泰郎厩舎

◆最優秀4歳以上牝馬 ダンスインザムード
    美浦・藤沢 和雄厩舎

◆最優秀父内国産馬 カワカミプリンセス
    栗東・西浦 勝一厩舎

◆最優秀短距離馬 ダイワメジャー
    美浦・上原 博之厩舎

◆最優秀ダートホース アロンダイト
    栗東・石坂  正厩舎

◆最優秀障害馬 マルカラスカル
    栗東・瀬戸口 勉厩舎


2.調教師・騎手部門

(1)調教師部門
◆最多勝利調教師 森 秀行(栗東)
◆最高勝率調教師 池江 泰寿(栗東)
◆最多賞金獲得調教師 松田 博資栗東)
◆優秀技術調教師 森 秀行(栗東)

(2)騎手部門
◆騎手大賞 武 豊(栗東)
※ 最多勝利騎手・最高勝率騎手・最多賞金獲得騎手の3部門すべてを受賞
◆最多勝利障害騎手 西谷 誠(栗東)
◆最多勝利新人騎手 該当者なし 




21:33 | 競馬関連ニュース | comments (0) | trackbacks (2) | page top↑

ディープインパクト凱旋門賞失格決定に学ぶもの

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呼吸器治療に使う吸引器
写真提供: Sanspo.com



ディープインパクトの禁止薬物検出問題は、
凱旋門賞3着という成績の「失格 」、という処分結果をもたらしました。

フランスギャロ審査委員会は昨日16日、ディープインパクト薬物陽性反応問題の調査の結果、
同馬のレース失格、3着賞金の支払い停止、および管理する池江泰郎調教師に対して制裁金を科す裁定を下しました。

薬物摂取の経緯については、すでに報道されているとおり、
故意のものではなく、吸引治療中2度、馬が暴れたため、吸引器からチューブが外れ、薬が馬房内に飛散してしまい、寝藁等に付着し、その寝藁を交換しないまま、誤ってディープインパクトがレース直前に食べたことに起因するのだろうということです。

この治療中のディープが暴れたことによる薬の飛散、汚染した寝藁の交換をしなかったことについて、池江調教師には知らされていなかったようです。
また、スポニチ記事によると、

JRAは薬剤が付着した可能性がある敷料を放置したU 獣医師(JRA認定の栗東開業獣医 * 実名をアップすることは止めます。)に対して何らかの処分を検討している。


とのこと。
このU 獣医師は、ディープが栗東に入厩していらい、ずっとディープの健康管理を任されていたいわば、「ホームドクター」のような立場の人だそうです。
そのU 獣医師は、フランス遠征にもついて行き、滞在中の8月下旬には、

「 健康面でも、大変順調である。」との報告をしていました。

同じ獣医師として、このU 氏の治療行為についてはやはり一言物申したい。
管理責任者は、当然ながら池江調教師です。
しかし、池江さんは馬の病気の専門家ではないです。
そして、薬の取り扱い、治療方法についてもやはり担当獣医師が全面的に責任を負うものだと思います。
ましてや、フランスでのレース出走において、
禁止薬物に対する情報については、きちんと把握しておくべき責任がある立場の人間です。
問題のイプラトロピウム薬剤は、日本では馬の治療には使用されていないということではありますけれど、臨床医であれば、フランスで初めて使用するに当たっても、きちんとその薬の体内動態ならびに薬効成分の分解メカニズムは理解把握してしかるべきものだったはずです。
それが、獣医師というライセンスを持つ専門家の責務です。

イプラトロピウムは、体内に入れば24時間以内に代謝され排出されるが、空気中においては、その分解代謝は緩慢で、今回のように敷き藁等の物質に付着した状態においては、長くとどまるものである。



以上、今回のディープインパクトの禁止薬物問題について、
多くの人たちが、池江調教師の管理責任を問うていますし、裁定結果にもそれが現れていますが、
複合的な陣営の背景があることを承知で、あえて私は、U 獣医師の臨床専門家としての責任を強く問いたいと思います。
それほど、我々獣医師の立場は動物の健康管理においては、責任の重い職業であると考えているからです。

最後に、11/17付け読売新聞のコラムを引用してみたいと思います。

視点
取材中の治療、「情報公開に逆行 」

ディープインパクトの禁止薬物問題の処分が決定した。
「不注意による過失」が薬物検出の理由と結論づけられたが、
名馬に汚点を残し、ファンを失望させる結果だった。
凱旋門賞には、日本から6000人のファンが詰めかけ、
国内では深夜のテレビ中継が高視聴率を記録した。
「競馬=馬券」ではなく、日本競馬界の至宝への純粋な応援だった。
3着でもロンシャン競馬場では、拍手が鳴りやまなかった。
競馬の新しい可能性に水を差す結果となる今回の失格は残念でならない。
陣営は8月の渡仏直後から、ディープに関して厳しい取材規制を敷いた。
調教や状態は、日本中央競馬会(JRA)関係者しか取材出来ず、
直前1週間は、それもシャットアウト。
池江調教師は取材に応じたが、
「いい状態が続いている。」
「140%の仕上がり」
という内容に終始した。
実際は、治療薬を使わざるを得なかった時期があった。
競馬界で進んできた「情報公開」の点から、陣営の対応は、
それに逆行するものだったことも、一連の騒動の中で浮き彫りになった。
ただ、凱旋門賞挑戦に関しては、JRAが異例の「応援キャンペーン」を展開。
メディアも、「優勝の可能性大」と、過熱気味の報道が続いた。
大きなプレッシャーの中で治療薬を使ってしまったことが、
今回の事態を招いてしまった側面であることも否定できない。



今回のディープインパクトの凱旋門賞挑戦という努力は、こうして「失格」という事実を残すことになってしまいました。
馬にとっては、その競争生活の歴史に刻まれてしまった事実として
生涯残ってしまうものであるし、
競馬の歴史の中でもずっと残っていくのです。

彼のそういう呼吸器系が弱いという体質について、それを隠すことはないのではないかと思うのです。
屈腱炎などを起こしやすい足元が弱い馬、咽鳴りの持病を持つダイワメジャーやハーツクライのような馬、そしてたとえば、入れ込みやすい性格である馬とかと同じように、普通にその馬のウィークポイントとして表明していくことに
誰も重大な異議を唱える人はいないだろうと思うのです。
馬券を購入する人は、”当たる、当たらない”というレース前の判断材料として、重要視するのでしょうけれど、
レースはみずもの、いやどの馬にも体調不調になる時もあるでしょうから。
そんな健康面の変調をひた隠しにしなければならない状況を作っている
そういことをもう少し、考えていくべきではないでしょうか。

「勝つことに努力をする。」ことと
「レース結果」がそれに伴わない残念な結果になることは、
その馬の運です。
仕方がないではないですか。
優勝馬は、たった一頭です。 
レースに参戦した中のたった一頭にしか、その栄光の地位は得られないのですから。

レース直前に、朝夕の寒暖差の激しい9月下旬のフランスの気候を初めて経験し、
そのことで、ディープインパクトが体調を崩して、風邪を引いてしまうことなど、
人間にだって至極普通に起こり得ることですよ。
自分の身に置き換えてみましょう。
サラブレッドは繊細な動物です。 タフで、環境の変化にさほど左右されないタイプの馬もいることはいますが、
大方の馬は、ましてや初めての海外遠征。
多少の体調の不調はあって当たり前。もしレース前にあまりに体調を崩してしまい、それでも無理にレース参戦して故障をするくらいなら、
思い切って回避!くらいの心意気で向かって行ってほしかったですね。
いえ、ディープがそうだったと言うわけではありません。
ホクトベガの時も、ものすごく体調を崩して、体重が激減していたのが、雨でレースが順延して、体重が戻ってきてそのまま出場、そして
故障発生、安楽死と言う悲しい結果もありました。

メルボルンCのデルタブルース、ポップロックの優勝後、
管理する角井調教師は、香港ヴァース参戦に向けてオーストラリアにこのまま滞在し調整するということは、オーストラリアのこの時期、朝晩の気温の激しい変化による体調への影響を考慮し、いったん日本に帰国させ調整するプランを立てていたりしました。
(結果的には、その調教プランはJRAに受け入れられずに香港遠征はなくなりましたけれど。)

今後、国際競争に向かう陣営が考慮しなければならないことは、
環境の変化に伴う馬の体調への影響を考慮して、選ぶレース時期を含めての参戦スケジュール、帯同馬の必要性、飼料等の管理など、細心の注意と英断ではないでしょうか。

今回のディープインパクトの一連の騒動から学んで、
二度とこんな悲しい結果をもたらすことのないように
切に切に希望します。



一番、かわいそうなのは、馬自身であること。
忘れないでおきましょう。

ディープよ!
残された国内2戦。 思いっきり飛んでくれよね!
君の英雄伝説は永遠だよ!

Keep your dream forever !

20061118012822.jpg
凱旋門賞 2006
写真提供:Sanspo.com




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『ばんえい競馬』の存続を求める署名のお願い

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いつもこの「 NEO Sense of Horse Life 」にいらしてくださっている
おけら街道まっしぐら」の管理人DDさんの記事など、
既に数ブログで取り上げられている、北海道の「ばんえい競馬」の存続問題について、
ご存知の方もいらっしゃると思います。

ここで、改めてその逼迫した現実を知ることとなりました。

10月21日付けの北海道新聞からの記事抜粋です。

ばんえい競馬旭川と北見撤退、存廃先送り

売り上げ減に悩むばんえい競馬の存廃問題について、市営競馬組合を組織する
旭川、帯広、岩見沢、北見の4市の市長が20日、旭川市内で協議した。
現行での4市での開催は今年度で最後とされ、
帯広と岩見沢の2市で存続する案が示されたが、最終判断は先送りされた。
廃止の可能性( *今年度で全開催廃止の可能性もあるそうです。)
を残したまま、引き続き話し合われる。




輓曳(ばんえい)競馬は、現在累積赤字が32億円、
今年度終了時には40億円に膨れ上がることが予想されているそうです。
この赤字補填の重圧は、地方財政に大きな負担をかけてしまうということで、
既に旭川、北見競馬場では、廃止決定となってしまいました。

北海道の輓曳競馬に限らず、今、各地の地方競馬の存続の危機の問題は、
押しなべて、累積赤字対策の地方財政への大きな負担問題に帰依します。

それでも、
輓曳競馬は、馬とともに歩んだ北海道の開拓、農業の歴史の証です。
「 輓曳競馬 」は明治時代、北海道の開拓農民の厳しい暮らしの中から生まれました。
その競馬の主役である重輓馬(じゅうばんば)は、北海道の厳しい自然環境の中、
開墾のために丈夫で力持ちの農用馬として生産され、
それが輓曳競馬として現在まで発展してきたのです。
世界的にも珍しい馬文化として、是非とも残すべき価値あるものではないかと思うのです。


学生時代の研修旅行で、
農水省管轄(現・独立行政法人)家畜改良センター十勝牧場で繋留している重輓馬種の
ペルシェロン種やブルトン種を実際見ました。
その巨体のわりに、愛らしい目をしていたのが印象に残っています。
また、
近くに住みながら、結局、実際の輓曳競馬を観ることなく、
北海道の地を離れてしまった今、それが心残りなことの一つになっています。

あの活気あふれる冬の輓曳競争の醍醐味。
是非、ずっと続けて欲しいと願って止みません。
行政上の問題は、私たち一般のファン達が考えるよりずっと大変なことではありましょう。
しかし、どうにかしてできる事をやってみよう!
そういう思いで、岩見沢市長宛の署名活動に参加しようと思います。

皆さんも、どうかよろしくお願いいたします。

署名用紙は、トップのバナーをクリックして、サイトに入るか、
http://carol.chu.jp/banei/
に直接入って、
「記入名簿(Wordファイル)」
をダウンロードして、A4用紙に印刷署名し、11月12日必着
郵送してください。
郵送先等、詳細はサイトをご覧になってください。


『ばんえい競馬』の存続を求める署名にご協力のお願い

岩見沢、帯広両市に判断が委ねられたばんえい競馬の存廃問題で、市内中心街の飲食店主たちが存続を求める署名活動を始めた。飲食店には競馬関係者が客として足を運ぶことも多く、なじみが深い。目標は一万人で「ばんえいは岩見沢の文化。なんとか続けてほしい」と声を上げている。




banba.jpg

参考書籍: 輓馬―ばんえい競馬写真集


banba-narumi.jpg
輓馬 (文庫) 鳴海 章 (著)
映画「 雪に願うこと 」の原作。




20061101020118.jpg

参考映画: 「雪に願うこと」のDVDが11月10日発売開始されます。



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